桂の家

 

京都市の桂に建つ住宅。

大きな屋根の下に小さな屋根で個性ある沢山の居場所を設けた、つながりを作りながら家族を包み込む大らかで豊かな住宅です。

<大屋根と小さな屋根の関係を示す模型写真>

家で個別に長時間過ごす場所となる母のキッチン、子供たちの遊び場の和室、子供たちが勉強するスタディスペースに屋根を設けてそれぞれの居場所を作りました。天井高を押さえて居心地を作り、仕上を変えることによって個性を出しています。

例えば、スタディスペースの天井は厚みの違う細かな材を使うことで、陰影があり立体的な表情を出しつつ、積木のように少し可愛い子供達に寄り添った雰囲気を出してます。

 

大きな屋根のリビングダイニングを介して、それぞれの屋根の居場所がつながることで、開放感と居心地、みんなの場所と一人の場所が共存する、抑揚と奥行きある空間を作りました。

また、南向きの吹き抜けからの光が空間全体に回ることで、屋根はそれぞれ時間によって様々な優しい表情を見せ、その折り重なりが空間を優しく包みます。

 

二階は個室とスタディスペースで構成されます。個室は大きな屋根の下で室内窓や引き戸を設けて極力開放できる空間として作りました。これによって、窓や扉を開放すれば二階全体が大きな屋根の下で居場所の連続するワンルームとしても感じられる空間としました。

 

その結果として、大きな屋根という家の背骨となる存在を感じながら個性ある優しい居場所がつながる、家族を包み込む大らかで豊かな住環境を実現しました。


<記念に子供たちと壁の珪藻土を塗りました。子供の個性のように、それぞれ表情の違う壁ができました>


■設計趣旨

 

京都市に建つ、大らかな屋根の下に小さな屋根で沢山の居場所を作った、家族が心地よく繋がる住宅。

 

家の中でも個別に使われる時間が特に長い、母のキッチン、子供の遊び場(和室)、子供の勉強スペースに、それぞれ小さな屋根という居場所を与え、それが家族の集まる場であり住宅の中心であるリビングと大らかにつながることで、開放感と居心地、みんなの場所と一人の場所が共存する、抑揚と奥行きある空間を目指した。

それぞれの屋根にはそれぞれの木を使って空間にキャラクターを生み出した。さらに、南向きの吹き抜けからの光がまわることで、屋根は時間によって様々な優しい表情を見せ、その折り重なりが空間を優しく包み込む空間となった。

また、二階に配置した各個室は大きな屋根の下の空間として設え、室内窓や引き戸を設けて極力開放できる空間とした。これによって、二階全体が大きな屋根の下に広がる、連続する居場所としても感じられる空間となり、家全体が大きな屋根と小さな屋根が生み出す抑揚と奥行きに包まれる空間となった。

 

その結果として、大きな屋根という家の背骨となる存在を感じながら個性ある優しい居場所がつながる、家族を包み込む大らかで豊かな住環境を実現することができた。

 

 

■建築概要

共同設計:多和良屋 杉中俊介

構造設計:清水良太構造デザインスタジオ

施工  :サクジ工務店

構造  :木造

階数  :2階

延床面積:157.35㎡

 

写真撮影:松岡正明